今日は、義烏に来ています。この街に来るたびに、感じることは、この街の人の生活水準が高いことに気づきます。まずは、乗っている車が、ものすごく高級車が多いのです。日本円で1000万円以上する車が、この街では、ごろごろ走っています。
中国は、輸入車は日本より高いのは、有名な話ですが、ベンツ、BMW、ハマー、中には、ベントレーなどの車を見ます。
この街が豊かになったのは、世界バイヤーが買い付けに来ているからです。
私が、今日泊まっているホテルにいる客の多くは、アラブ系の人です。
何か、昔のシルクロードを思わせる行商の街です。最近は、アラブ以外にも、相当アフリカなどから買い付けに来ているようです。
品質の要求は、アラブ、アフリカは、あまり高くないということです。安ければ、いい。ロット数も多い。というのが特徴のようです。
日本のオーダーは、といえば、品質の要求が高く、ロット数が少ないというのが、現状で、中国の工場からは、あまりいい顔をされないのが現状です。
やはり、中国の工場は、ロット数が多い。品質要求がうるさくないオーダーを好むようです。
本日、訪問した、義烏の日系商社の人が面白い話をしていました。
中国の工場は、「日本のオーダーを受けたいとあまり思っていません。ただ、品質のレベル確保のために、合間、合間で練習ついでに行っているだけですよ。品質が厳しくて、安くて、ロット数の少ない日本のオーダーは、中国の工場から見て、儲からない商売だから、あまり興味を示さないのが現状です。」と話していた。
日本にいる人には、中国の現状が見えにくい部分があると思いますが、実は、中国に発注を出しに来ている企業は、日本だけではありません。ほぼ、全世界からオーダーが殺到しています。
だから、中国の工場は、効率よく儲かるビジネスを優先したいのが、現状です。
日本の量販店に納品している商社の人が話していましたが・・・・
「今までオーダーしていた中国の工場が、アメリカから大量のオーダーが入るようになってから、日本のオーダーに興味をなくしてしまいました。今までのように、話がしにくくなりました。」
今、日本の商社の人は、相当苦しんでいるのが現実です。
これは、日本がデフレでものが安くなったのですが、中国は、人民元、税金、また、一番大きい原因は、中国の工場の経営者の生活水準が相当上がっていることです。
消費するお金の量が増えたのが原因です。
一度、豊かになった人間は、倹約してもう一度ぎりぎりで勝負したいとは、思わないのが、人の心理です。
しかし、日本の会社は、必死にコスト削減をして、納品先の顧客のニーズに合わせた対応をしています。実際には、苦しいのは、経営者、貧乏なのは、経営者という悲しい現状が、今起こりつつあります。また、日本の雇用形態がかわり、低所得層が増えつつあります。消費という点で、ますます、縮小しています。
しかし、日本以外の先進国、また、世界の多くの発展途上国では、通貨流通量が増えて、消費が拡大しています。
そのため、日本以外の国は、激安でなくても、中国商品を買っていく現状があります。
最近の中国人の経営者が言います。「日本人相手の商売より、アメリカ、ヨーロッパの方が儲かるから、そっちを考えたいよ。」という声をよく聞きます。
最安値、今、日本の商社の人と会えば、声を合わせていうことは、「安くていいものがありませんかね。あったら、紹介してください。」
世界は、多少高くても、かえる世界になっているのに、日本の商売は、世界の流れに逆行している感があります。
だから、中国に最安値をもとめても、これからは、ますます苦しくなるのではないでしょうか?
理由は、先ほども、話したとおり、世界が高く買える経済構造をしているのに、日本だけがデフレというか、あまりににも企業努力をしすぎた結果、まったく儲からない価格での販売を始めてしまったのが原因です。
その つけ が今になって、どうしようもない形で、海外で仕入れを行うものにとってストレスになっています。
実際に、現場で仕事しているもが、実感することは、人民元が、もし、1ドル=5人民元程度まで上がることがあれば、今の量販店などの仕入れシステムを中国から変えるか、もしくは、日本製造になる。また、第三国に逃げる ベトナムなど・・それ以外に、日本の物価の水準を上げるという方法以外、今の量販店の販売価格帯の維持は、不可能であるのが現実だと思います。
多くの人は、黙って我慢していますが、もう、我慢できないと言い出すのは、時間の問題だともいます。
日本の量販店での販売価格が、20%~50%程度上げなければ、企業が、まったく利益をあげられない、いわば、誰も食っていけない流通形態ができるのは、見えています。
日本の商売の言葉で、「損して、得をとれ!」と、言う言葉がありますが、今は、「損して、誰も得じゃない」時代になっています。
物価水準の押し上げ、所得の増大をしなければ、今は、仕入れが世界水準で推移していることを考えれば、日本人がまともに仕入れすることができなくなる日は、近いです。実際には、実は赤字になるかという覚悟でやっている企業も多いのが現状です。これは、危機だと思います。